生成AIとは
生成AIとは、特定の入力（プロンプト）を受け取り、それを元に新しいテキスト、画像、音声などのオリジナルデータを生み出す技術です。例えば、「犬」というテキストを入力すると、「犬についての説明」のテキストを生成したり、犬の画像を生成することができます。
生成AIの仕組みを理解する上で、開発段階と利用段階で分けて考えるとわかりやすいでしょう。
開発段階は、大量のデータからパターンを学習し、一つの大きな学習済みモデルを構築するフェーズです。モデルとは、データの中に存在するパターンや相関関係を学習し、未知のデータに対して予測や判定を行うアルゴリズムの集合体です。モデルは、いわば生成AIの「頭脳」そのものを指します。ただし、この「頭脳」であるモデルは、あくまで学習したデータに基づく予測や判定を行うものであり、人間のように意識や感情を持つわけではありません。
利用段階は、学習済みモデルにテキストなどのデータを入力することで、学習済みモデルが新たな生成物を出力するフェーズです。
代表的な生成AIサービスの一つに、OpenAI社が提供する「ChatGPT」があります。テキスト生成に特化した生成AIで、ユーザーからの入力に対して、人間のように自然で理解しやすいレスポンスを生成します。現在は、OpenAIだけでなく、GoogleやMicrosoftなど、多くの企業が生成AIの可能性に注目し、テキストだけでなく画像や動画、音声の生成など多岐にわたる技術開発が行われています。
生成AIの主な特徴
生成AIの特徴は高い汎用性です。
本コースでは生成AIを中心に学びますが、AIにはさまざまな種類が存在します。代表的なAIを紹介しつつ、それらのAIとの比較の中で、より生成AIの理解を深めていきましょう。以下の図は代表的なAIの比較をまとめた表になります。
識別系AI（Discriminative AI）
識別系AIは、入力データを「識別・分類」することを目的としています。例えば、画像に写っている物体が何かを識別する画像認識システムや、メールがスパムかどうかを識別するスパムフィルターがこのタイプにあたります。このタイプのAIは、与えられた入力に最も適合するカテゴリを「選ぶ」ことに特化しています。
予測系AI（Predictive AI）
予測系AIは、過去のデータを基にして未来の出来事や数値を「予測」することが目的です。このAIは、株価の動向、消費者行動の予測、気象条件の変化など、様々な分野で利用されています。予測モデルは、過去のパターンや傾向を分析し、それを基にして未来を予測するための機能を持っています。
生成AI（Generative AI）
生成AIは、前述の通り、学習したデータを基にして新しいデータを「生成」することを目的としています。既存の画像、テキスト、音楽などから学習し、新しいコンテンツを作り出すことができます。たとえば、既存の絵画のスタイルを学習して新しい絵画を生成するAIや、特定のスタイルの文章を生成するテキスト生成AIがあります。このタイプのAIは、単に分類や予測をするのではなく、新しい「生成物」を生み出すことができる点が特徴です。
識別系AI、予測系AIと比較して生成AIはその適用範囲の広さに特徴があります。特にテキストに関しては、生成AIは非常に汎用性が高く、様々な形式やスタイルでのテキスト出力が可能です。これにより、ニュース記事の作成、物語や詩の創作、さらにはプログラムコードの自動生成など、多岐にわたる用途で利用することができ、多くの業界で革新的な変化をもたらす可能性を秘めています。
生成AIの種類と用途
生成AIは、学習済みモデルが、特定の入力（プロンプト）を受け取り、新しいテキスト、画像、音声などのオリジナルデータを生み出すAIであることを学びました。次に、生成AIの種類について解説します。生成AIには、扱うデータの種類によって様々なタイプがあり、それぞれ異なる用途で活用されています。
テキスト生成AI
テキスト生成AIは、ユーザーの入力に基づいて新しいテキストを自動生成します。
代表的なテキスト生成AI ・GPT-4（ChatGPT） ・Claude ・Perplexity
【ビジネス利用例】 ・マーケティングコンテンツの生成 ・カスタマーサポートでの自動応答 ・報告書やプレゼンテーションのドラフト作成 ・自然言語によるデータ分析レポート
画像生成AI
画像生成AIは入力したテキストをもとに、新しい画像を生成します。
代表的な画像生成AI ・DALL-E ・Midjourney ・Adobe Firefly
【ビジネス利用例】
- 新規ビジネスサービスのロゴ作成
- インテリアデザインの仮ビジュアル作成
- 広告クリエイティブのイメージ画像生成
（DALL-Eで生成したロゴ）
(Midjurneyで生成した画像）
動画生成AI
動画生成AIは、テキストや画像の入力から動画コンテンツを自動生成します。
代表的な動画生成AI ・Runway ・Stable video ・Sora
【ビジネス利用例】 ・動画広告の生成とカスタマイズ ・動画SNSのためのビジュアルコンテンツ生成 ・トレーニングと教育ビデオの自動生成 ・イベントやプロダクトのプロモーションビデオ
補足
画像生成AIに比べると、まだ高性能で実用的な動画の生成をすることはできませんが、ゲームやシミュレーションでのリアルタイムレンダリングや、映画・アニメーションの制作支援などの活用が期待されています。また、ChatGPTを開発しているOpenAIからも動画生成AIについての開発が言及されており、将来どのような動画を生成できるようになるか、すでに発表されています。（2024年4月時点）
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