Chapter 5 [演習課題④]生成AIで契約書を作成してみよう

学習時間の目安1時間

契約書の作成に生成AIを利用することで、法律の知識が乏しい人でも、法律の専門家が作成したかのような質の高い契約書を作成することが可能です。これは、ChatGPTが広範なテキストデータから学習しており、その中には一般的な法律用語や契約書の表現も含まれ、これらを適切に組み合わせて利用者のニーズに応えることができるためです。これにより、法律の専門家の助言がなくても、一定の品質を保った契約書を作成することができます。

しかし、最終的な契約書は法的効力を持つ重要な文書であるため、専門家の確認が必要です。それでも、ChatGPTを活用することで契約書の大部分を効率化でき、法律の知識が乏しい人でも手軽に作成できます。これにより、専門家は最終確認や調整に専念できるため、契約書作成のプロセス全体がより迅速でコスト効率の良いものになります。

例:業務委託契約書の作成

想定シーン あなたは、とある新しいプロジェクトをスタートさせるための準備を進めています。予算は確保されていますが、まだプロジェクトメンバーの確保ができておりません。今回は社外からプロジェクトメンバーを確保することとなり、採用活動の結果、数名、業務委託契約でプロジェクトに参画頂けることになりました。しかし、業務委託契約書がまだ作成できていません。そこで、生成AIを活用して業務委託契約書を作成することにしました。

まずは、生成AIを用いて業務委託契約書に盛り込むべき内容を洗い出しましょう。

プロンプト作成時のポイント

  • 役割を「法律の専門家」と指定すること
  • どのような文章を作成したいのかを明確に提示する
プロンプト#役割
あなたは企業の法務チームであり、法律の専門家です。

#ゴール
業務委託契約書を作成する際に、盛り込むべき要素を書き出してください。

#制約事項
法的な文章のため、網羅的に要素を書き出してください。

#出力形式
箇条書き
ChatGPTの出力例業務委託契約書に盛り込むべき要素は以下の通りです。

1. **契約当事者の特定**
   – 委託者(発注者)の名称・住所・代表者名
   – 受託者(業務提供者)の名称・住所・代表者名

2. **契約の目的**
   – 契約の目的と背景
   – 委託業務の内容と範囲

3. **業務の詳細**
   – 業務の具体的な内容
   – 作業スケジュールと納期
   – 業務遂行の方法と場所

4. **報酬と支払い条件**
   – 報酬額とその算定方法
   – 支払いのスケジュールと方法
   – 消費税やその他の税金の扱い

5. **費用負担**
   – 業務遂行に必要な費用の負担者
   – 費用の請求方法と精算手続き

6. **契約期間**
   – 契約の有効期間
   – 契約の更新条件

7. **契約の解除**
   – 契約解除の条件と手続き
   – 解除に伴う清算方法
   – 契約違反の場合の対応

8. **業務の再委託**
   – 業務の再委託の可否
   – 再委託時の条件

9. **秘密保持**
   – 秘密情報の定義
   – 秘密情報の取り扱い方法
   – 秘密保持義務の期間

10. **知的財産権**
    – 業務の成果物に関する知的財産権の帰属
    – 権利移転の手続き
    – 使用許諾の条件

11. **損害賠償**
    – 損害賠償の範囲と限度
    – 賠償責任の除外事項

12. **不可抗力**
    – 不可抗力の定義
    – 不可抗力が発生した場合の対応

13. **反社会的勢力の排除**
    – 反社会的勢力との関係排除に関する条項
    – 契約解除の条件

14. **紛争解決**
    – 紛争解決の方法
    – 裁判管轄

15. **その他**
    – 契約書の修正手続き
    – 通知方法と連絡先
    – 契約書の署名欄

これらの要素を網羅することで、業務委託契約書が包括的かつ明確なものとなり、両当事者が安心して業務を遂行できる環境を整えることができます。

これにより、業務委託契約書に盛り込むべき内容の方針が定まりました。この内容を盛り込んだ、実際の業務委託契約書を作成してみましょう。

プロンプト作成時のポイント

  • 役割を「法務担当」と指定すること
  • 目的で成果物を明確に提示すること
  • 業務委託契約書に盛り込むべき要素を提示すること
  • 制約事項を明示すること
プロンプト#役割
あなたは企業の法務担当で、業務委託契約書を作成する役割を担っています。

#文脈
・新規プロジェクトにおいて、予算は確保されていますが、まだプロジェクトメンバーの確保ができておりません。
・今回は社外からプロジェクトメンバーを確保することが決定しており、採用活動の結果、業務委託契約で数名の方に参画頂けることになりました。
・しかし、業務委託契約書がまだ作成されてません。

#ゴール
業務委託契約書を作成すること。

#業務委託契約書に盛り込むべき要素
1. **契約当事者の特定**
   – 委託者(発注者)の名称・住所・代表者名
   – 受託者(業務提供者)の名称・住所・代表者名
2. **契約の目的**
   – 契約の目的と背景
   – 委託業務の内容と範囲
3. **業務の詳細**
   – 業務の具体的な内容
   – 作業スケジュールと納期
   – 業務遂行の方法と場所
4. **報酬と支払い条件**
   – 報酬額とその算定方法
   – 支払いのスケジュールと方法
   – 消費税やその他の税金の扱い
5. **費用負担**
   – 業務遂行に必要な費用の負担者
   – 費用の請求方法と精算手続き
6. **契約期間**
   – 契約の有効期間
   – 契約の更新条件
7. **契約の解除**
   – 契約解除の条件と手続き
   – 解除に伴う清算方法
   – 契約違反の場合の対応
8. **業務の再委託**
   – 業務の再委託の可否
   – 再委託時の条件
9. **秘密保持**
   – 秘密情報の定義
   – 秘密情報の取り扱い方法
   – 秘密保持義務の期間
10. **知的財産権**
    – 業務の成果物に関する知的財産権の帰属
    – 権利移転の手続き
    – 使用許諾の条件
11. **損害賠償**
    – 損害賠償の範囲と限度
    – 賠償責任の除外事項
12. **不可抗力**
    – 不可抗力の定義
    – 不可抗力が発生した場合の対応
13. **反社会的勢力の排除**
    – 反社会的勢力との関係排除に関する条項
    – 契約解除の条件
14. **紛争解決**
    – 紛争解決の方法
    – 裁判管轄
15. **その他**
    – 契約書の修正手続き
    – 通知方法と連絡先
    – 契約書の署名欄

#制約事項
– 業務委託契約書は、法的に有効で、両当事者の権利と義務を明確に定めること。
– 提示した「業務委託契約書に盛り込むべき要素」を漏れなく含めること。
– 簡潔かつ明瞭な文章で記述し、曖昧な表現は避けること。
ChatGPTの出力例業務委託契約書

第1条(契約当事者の特定)
本契約は、以下の当事者間で締結されるものとする。

委託者(発注者)
• 名称:○○株式会社
• 住所:○○県○○市○○町○○番地
• 代表者名:○○ ○○

受託者(業務提供者)
• 名称:○○(個人または法人名)
• 住所:○○県○○市○○町○○番地
• 代表者名:○○ ○○(法人の場合)


第2条(契約の目的)
本契約は、○○株式会社(以下「委託者」という)が、受託者に対して○○プロジェクトに関する業務を委託し、受託者がこれを受託することを目的とする。


第3条(業務の詳細)
1. 業務内容:○○プロジェクトに関する以下の業務を行う。
 ◦ 業務の具体的内容1
 ◦ 業務の具体的内容2
2. 作業スケジュールと納期:
 ◦ 作業開始日:○○年○月○日
 ◦ 納期:○○年○月○日
3. 業務遂行の方法と場所:受託者の判断で適宜遂行する。


第4条(報酬と支払い条件)
1. 報酬額:○○円(消費税別)
2. 支払いスケジュール:
 ◦ 初回支払い:○○円(○○年○月○日までに)
 ◦ 残額支払い:○○円(○○年○月○日までに)
3. 支払い方法:銀行振込
4. 消費税等:報酬額に消費税を加算する。


第5条(費用負担)
1. 業務遂行に必要な費用は原則として受託者が負担する。
2. 必要経費の請求方法と精算手続きについては、事前に委託者の承認を得ることとする。


第6条(契約期間)
1. 本契約の有効期間は、○○年○月○日から○○年○月○日までとする。
2. 契約の更新は、双方の合意により書面で行う。


第7条(契約の解除)
1. 契約解除の条件:
 ◦ 委託者または受託者が本契約に違反した場合、相手方は書面による通知後30日以内に是正されない場合に契約を解除できる。
2. 解除に伴う清算方法:解除時点までの業務に対する報酬を精算する。


第8条(業務の再委託)
1. 受託者は、委託者の事前の書面による承認なくして業務を再委託してはならない。
2. 再委託する場合、受託者は再委託先に対しても本契約と同等の義務を負わせるものとする。


第9条(秘密保持)
1. 秘密情報の定義:本契約に関連して知り得た全ての情報。
2. 秘密情報の取り扱い方法:適切に管理し、第三者に開示しない。
3. 秘密保持義務の期間:本契約終了後も○年間継続する。


第10条(知的財産権)
1. 業務の成果物に関する知的財産権は、全て委託者に帰属する。
2. 権利移転の手続き:納品と同時に権利を委託者に移転する。
3. 使用許諾の条件:受託者は委託者の事前の書面による承認なくして成果物を使用してはならない。


第11条(損害賠償)
1. 損害賠償の範囲と限度:受託者が本契約に違反した場合、委託者に生じた直接的かつ現実の損害に対して賠償責任を負う。
2. 賠償責任の除外事項:不可抗力による損害については賠償責任を負わない。


第12条(不可抗力)
1. 不可抗力の定義:天災、戦争、暴動、法令の制定・改廃など、当事者の合理的な制御を超える事象。
2. 不可抗力が発生した場合の対応:不可抗力の影響を受けた当事者は、直ちに相手方に通知し、相互に協議の上、適切な対応を取る。


第13条(反社会的勢力の排除)
1. 反社会的勢力との関係排除:当事者は、自らが反社会的勢力に該当しないこと、および将来にわたっても該当しないことを表明し、保証する。
2. 契約解除の条件:反社会的勢力との関与が判明した場合、相手方は直ちに契約を解除できる。


第14条(紛争解決)
1. 紛争解決の方法:本契約に関する紛争が生じた場合、双方は誠意をもって協議する。
2. 裁判管轄:本契約に関する訴訟は、○○地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする。


第15条(その他)
1. 契約書の修正手続き:本契約の修正は、双方の書面による合意により行う。
2. 通知方法と連絡先:本契約に関する通知は、書面により行い、契約当事者の住所宛てに送付する。
3. 契約書の署名欄:本契約の成立を証するため、本書2通を作成し、各当事者が署名・捺印の上、各1通を保有する。


以上が本契約書の内容です。

このように、生成AIを活用することで、業務委託契約に必要な項目を洗い出し、契約書の型として作成することが可能です。

[演習課題④]生成AIで秘密保持契約書を作成しよう

【想定シーン】 新規プロジェクト発足に際し、社外からプロジェクトメンバーを集めることになりました。候補者から「業務委託契約を結ぶ前に、プロジェクトを推進するうえで必要な社内情報を知りたい」との要望がありました。それに伴い、社外秘の情報も一部提供する必要があるため、早急に秘密保持契約(NDA:Non-Disclosure Agreement)を締結する必要があります。ただ、法務の担当者が業務委託契約書の作成に工数を取られているようです。そこで、法律の知識は持っていない自分が生成AIを活用して秘密保持契約書を作成し、その内容を法務の担当者にレビューしてもらうことで締結までの時間を短縮しようと考えています。

【実施手順】

  1. 秘密保持契約書に盛り込むべき要素の洗い出しをしましょう
  2. 秘密保持契約書の生成をしましょう

【提出方法】 演習課題の入力先シート:「提出ファイル」>「Lesson7_[演習課題④]生成AIで秘密保持契約書を作成しよう」 提出方法:Slackでメンターをメンションの上、上記シート右上に記載の「提出テンプレート」とあるセルをコピーし、提出してください。

コメント